Dr.ブログ

矯正治療と生活の質(QOL)

矯正治療をしようかどうかを悩んだときに、
“この歯並びを治さなければ、一体どういうことが起きるのか?”ということを考える方は多いのではないでしょうか。
矯正相談に来られたお子さんの親御さんから“治した方が良いのですよね?”と質問をされることもあります。
多分、これらの質問は同じ意味なのだと思います。

歯並びの乱れを治さなければ将来病気になる可能性が高いのか、または病気とまではいかなくても健康被害を引き起こす原因になるのか、この疑問に正確な答えを持っている先生はいないのではないでしょうか。

歯並びが悪ければキレイに歯が並んでいる方に比べれば歯磨きが難しくて、そうなるとむし歯や歯周病を起こしやすいのは確かです。
ですから、矯正で歯並びを治せばむし歯になりにくくなるとは思います。
ただ、むし歯や歯周病は歯並びの悪さが原因で起こるのではなく口腔内を不潔にしたことが原因で起きる訳ですから、歯並びの乱れを放置したから必ずなるモノではありません。

歯ならびが悪いと、食べ物を咀嚼する効率が悪いケースが多く、そういう場合には長期間に渡って消化器官に悪い影響を及ぼすことは確かだと思います。
ただし、悪い影響があるからといって、それが内臓疾患に直結するわけではありません。
食べ物を咀嚼する効率が悪くても、時間をかけけ噛めば十分に噛みつぶせることもありますし、そもそも食べ物の咀嚼効率だけでは内臓疾患の原因は論じられないという側面もあります。

不正咬合が影響を及ぼすのは内臓に関する問題だけではありません。
不正咬合が顎関節症という顎の痛みを引き起こす疾患の原因になるという最もらしい話しがテレビで報じられたりすることもあります。
しかし、顎関節症と不正咬合は、どのように関係しているのか現時点では科学的に解明されていないというのが実情です。
ですから、不正咬合を放置したからといって、将来的に顎関節症を起こすリスクが高いかというと、そういう可能性もあるが何とも言えないと言うのが私の考えです。

こう考えると、不正咬合を放置しても必ずしも身体に直接的に悪影響を及ぼすことはむしろ希であるとと言わざるを得ません。

では、矯正治療をすることによって得られるメリットは何かというコトになると思います。

“生活の質(Quality Of Life)”という言葉をご存じでしょうか?

人がどれだけ人間らしい望み通りの生活を送ることが出来ているかを計るための尺度なのですが、この言葉の説明をここで書くと長くなるので興味のある方はgoogle辺りで検索してみてください。

“クオリティ・オブ・ライフ”を簡単に書くなら、どれだけ満足感や充実感をもって日々生活をおくれるかを計る目安、って感じでしょうか。
矯正治療の目的は、病気というマイナスの現象を予防するという意味合いよりも、むしろ将来どのくらい精神的に充実した日常生活をおくることができるのかというプラスの現象に関わっていると思います。
つまり、矯正治療ではこの“クオリティ・オブ・ライフ”を高くすることができる、これが矯正治療の大きなメリットの一つと考えています。

肉体的に健康であることは生活にとって欠かすことのできない大切なことですが、日々の生活の満足度という精神面の健康も社会生活を送っていく上ではとても大切なファクターです。
私の携わっている“歯科矯正”という分野は、今の自分から更にワンランク上の自分になるお手伝い(それは言い過ぎか・・・)。
とにかく、治療後に患者さんが笑顔で楽しく過ごすことができることを目指して診療を進めたいと考えております。

院長 久保田 衛

  • 医療法人プライムオルソ 理事長
  • 日本矯正歯科学会 認定医
  • インビザライン公認クリニカルスピーカー
  • カンボジアプティサストラ大学臨床教授

医療法人プライムオルソ くぼた矯正歯科クリニック

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